2012年2月23日木曜日

将棋の解説(?)で『投了前の形作り』という表現を聞きますが、 どういった意味で...

将棋の解説(?)で『投了前の形作り』という表現を聞きますが、

どういった意味でしょうか?


|||



同じ負けるにしても一方的にボロ負けしたような投了図にするのでなく一手違いで負けた方も敵玉に迫っていたという形を作って投了したいのです。それが『投了前の形作り』です。自玉に詰めろをかけられてしまって適当な受けもない。といって相手玉は全然詰まない。どう受けたところで見苦しいばかりで助からない。ここで負けを悟った棋士は、自玉を受けるのでなく相手玉に詰めろもどきのような手を指す。一見、詰めろチックに相手玉に迫る手だが実は詰めろでも何でもなかったりする。そういう手は相手にされず、自玉が詰まされるでしょう。王手をかけられる。そこで投了するわけです。負けてしまったけど、あと一歩足りなかったという緊迫した局面を投了図として残すというのはそういうことです。ここで、負けた方が最後に指した手を『投了前の形作り』と評するのです。もちろん自玉の詰みをうっかりしたとか見落としたといったことではなく、詰みがあるのを承知で、負かされるのを承知で、そんな手を指したということなのです。それは何のためか。それが形作りです。同じ負けでも負け方というものがある。それがプロのたしなみです。

添付図は先に行われた王位戦第一局の投了寸前の120手目に深浦王位が▽3七桂と指した局面です。この▽3七桂は詰めろもどきではなく先手玉への詰めろになっています。ここで後手番なら▽2九桂成以下先手玉が詰みで後手の勝ちとなります。しかし実際は先手番で、ここは後手玉に詰みが生じています。次ぎの▲7四馬を見て深浦王位は投了しました。この▽3七桂のような手が典型的な投了前の形作りという手なのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿