2012年3月8日木曜日

将棋 宮田新手とは?

将棋 宮田新手とは?

今、将棋で矢倉の勉強をしているのですが、本を読み進めていると「宮田新手」なる定跡?が長々と解説されていました。

ただ、将棋を始めてそう経っていない私にとって「宮田新手」は初めて聞く言葉です。



そこで、宮田新手について教えて欲しいことがあります。



①これは代表的な手法なのか。

②宮田新手のセールスポイント(特徴)は? 長所・短所など。

③攻めと守りどちらに適しているのか。

④まだまだ攻守のバランスの取り方が解らない私。そういう人こそ是非とも覚えたほうが良いのか、それとも上級の手で玄人向けなのか。


|||



この新手の意味を正確に理解するためには、矢倉▲4六銀▲3七桂型の歴史を一から勉強する必要があります。

ここでは質問の内容に沿ってかいつまんで説明しますが、ぜひ色んな本を読んで周辺事情を勉強されることをお勧めします。



①△9五歩△8四歩型に対しては、最も主流の手です。

ちなみに、▲6五歩以外の候補手としては、▲5七角、▲2五桂などがあります。



②簡単にいえば、6八にいる角を5七~6六へと使い、攻めの力をアップさせよう、ということです。

定跡の中では、▲6四歩と突いて角道をふさいだり▲6五飛と回るような手が出てきますが、これはあくまで「副産物」とお考えください。

短所としては、当然ですが、後手に反撃のきっかけを与える(△6四歩や△7三桂~△6五桂)ということです。



③②の説明で分かるとおり、100%攻めの手です。



④あくまでもこの局面でのみ有効な手である、と理解する方が現段階では無難かと思われます。



(補足について)

②④の説明でも書きましたが、基本的には矢倉での▲6五歩という手は決して好手ではなく、むしろ危険を伴う手、とご理解ください。

例えば、後手の形が△9四歩△8五歩になっているときは、この手は完全に悪手になります。すぐに△6四歩▲同歩△同銀と反撃され、この銀と8五歩の相性が良いため、後手の攻めの方が早くなってしまうからです。

△9五歩△8四歩の形であれば、比較的後手の攻めが遅いので、むしろ先手としても一歩を持って攻撃できる、と宮田さんは判断したのです。



|||



宮田新手▲65歩の直前の局面はその定跡本に載ってますね?

まず、宮田新手そのものを勉強するというよりは、矢倉▲46銀戦法の主だった定跡を一通り勉強するのがいいと思います。

そうでないと、宮田新手の意味もわかりづらいですし、相手に少し変化されるだけで対応できなくなってしまいます。



① 代表的な手法というよりは、矢倉▲46銀戦法における主要な変化の一例と言えるでしょう。

ちなみに、宮下新手▲65歩の直前の局面では、他に▲57角、▲25桂、▲18香が良く指されますが、▲25桂は▽45歩から攻め駒を攻められる展開になり不満。▲18香は▽93桂で端を殺到されて悪い。したがって、▲57角と様子を見て、▽85歩なら▲98香、▽42銀なら▲25桂と行く将棋が多いです。

宮田新手▲65歩は▲57角以上に積極的な手ではありますが、自らの傷も作る手であり、▲57角よりも危険な手と言えるでしょう。



② まず長所として挙げられるのは、66の位置に角を移動させる(あるいは打てる)スペースをあけられることと、いつでも▲64歩と突き捨てをできる点です。一例を挙げると、▲25桂とはねた際、従来ならば▽45歩▲同銀▽19角成▲46角▽同馬と角交換になる変化の際、いつでも▲46角と、王手で好位置に角を打てる点です。また、▲64歩▽同角の突き捨てが入っていると、3筋で飛車を捌いた変化で、▲65飛と回る変化もあります。



短所は、直接的な次の狙いがないため、▲65歩が後手の標的になりやすいという点です。例えば、先手がもたもたしていると、後手の角がどいた時に、▽73桂から▽65桂を狙われます。



③自陣のコビンをわざわざ空けている上、標的を作っているため、どう見ても攻めの手です。

この手を指すことによって、相手の反撃がより厳しくなることは覚悟しなければなりません。



④この手を指すのであれば、宮田新手の後の定跡だけではなく、それに関連する矢倉の定跡(特に、▲46銀戦法から、▲35歩と仕掛ける手、▲55歩と仕掛ける手、後手から▽45歩と反発する手等)は必ず覚えた方がいいです。それをマスターする以前に指す手ではないと思います。


|||



宮田新手は添付図の▲6五歩のことです。これが初出というわけではありませんが、宮田新手は相矢倉の代表的な戦型である▲4六銀▲3七桂▲3八飛車型の先手攻勢後手守勢の形で2002年に宮田五段(当時)が指し始めた手です。宮田新手は矢倉の名手で知られる高橋九段の研究が詳しいですが、今秋渡辺竜王の防衛で終わった竜王戦第二局でも全く同一の局面で羽生名人が採用しています。この局面での有力な候補手の一つだというだけです。これ以上の説明は私には荷が重過ぎますので勘弁してください。どちらかというと攻めの手だと思うのですが、その意味は深すぎます。



高橋道雄最新矢倉戦法 徹底研究▲3七銀戦法

http://www.shogi-books.com/yagura/takahashi_michio.htm



2010年10月26・27日 第23期竜王戦 七番勝負第2局

http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/ryuou20101026-27.html

【補足】

例えば、▽9四歩▽8五歩型に対しての▲6五歩は▽8四角▲2五桂▽7三桂といった攻め合いに来られると▽6五桂が生じて面白くないのかも知れません。以降、▲3五歩▽6五桂▲6六銀▽6四銀▲3四歩▽7五歩でしょうか。

▽9五歩▽8四歩型の場合の▲6五歩は▽8五歩▲2五桂▽4二銀と進んで一手違います。

同じ手でもちょっとした形の違いで成立する場合と成立しない場合がある。この辺は難しくて私にはよく分からないところです。▲6五歩は▲6四歩の突き捨て(竜王戦で現れました)や▲5七角~▲6六角の含みを持たせた利がある反面、▽6四歩の突き上げや▽7三桂~▽6五桂と目標にされる損もある一長一短の手なのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿