2012年3月27日火曜日

角一枚で逆転した将棋

角一枚で逆転した将棋

角という駒が好きです。



一枚で局面をひっくり返す力がある駒だと思っています。



図は『三月のライオン』の中に出てきた局面です。ここで▽7一角という一手で逆転してしまいます。



これは先崎八段による創作局面ですが、(つまり「次の一手」問題)実戦でもありそうです。



プロの実戦で角一枚で華麗に逆転した将棋を教えてください。


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NHK杯。羽生×中川戦。羽生さん奇跡の大逆転!最終的には積みに銀が正確に打たれたことで勝ちが確定しましたが、まず銀を使える状態ではありませんでした。使っても意味なかった。どうやって詰みがあるという状況に持っていったのかというと、全ては角でした。どうあがいても負けという状況でしたが、△82角。この角が凄くて、攻めと、守りは2方に睨んでて一駒で3役こなしています。

加藤一二三九段の解説で有名ですよこの対局。



それとこれも羽生さんですが89NHKの大山十五世名人との勝負。実は羽生玉に詰みが生じ解説も大山十五世名人自身もかちだと思っていました。けれど羽生さんは詰みを発見して角を打ち、大山十五世名人に、その角に対応する歩を打たせたことで、二歩を利用して詰みを消しました。(詰むための歩を打てなくさせた。)

こちらこそ正に時代の節目の一戦で出た、『角一枚で大逆転』ですね。



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戦前で棋譜は残っていませんが、升田幸三の話。



星田との対局で、角を打つ手が2つ。

1つは敵陣、1つは自陣に打てる。



さて、敵陣に打ち込んで荒らしまわるのは、一見調子が良さそうだ。

しかし、このあとどう指すのかよう分からん。



一方、自陣に打つ方は一見狙いが分かりづらい。

少なくとも、角自身の活躍はなさそうだ。

だが、角を犠牲にすることで前線の駒が生き生きとし始める。



こう考えて自陣に角を打ち、勝利した。

この小さな利益にとらわれず大局を見た手は、のちに坂田三吉は面と向かってこう褒められた。「アンタの将棋はでっかい」

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