2012年3月21日水曜日

将棋について、NHK杯の羽生ー中川戦に関して。

将棋について、NHK杯の羽生ー中川戦に関して。

NHK杯の羽生ー中川戦は、解説の加藤九段が局面判断を誤っていただけで、実は大逆転ではなかった、という意見を見かけますが、途中の王手馬取り(△6四飛)の段階では、明らかに中川七段の勝勢に見えます。ところが、▲9八角の段階では、たしかに形勢が微妙になってしまっています。



では、なぜあれほどまで形勢がまぎれてしまったのでしょうか?中川七段の指し方がそれほど悪かったようにも思えないのですが。


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棋譜がないので、放送を視聴してた時の感想ですが、王手馬の段階では、自分でもひょっとしたら羽生さんに勝てるのではないか!と思いましたw それに対し『銀』で間駒した手が中川さんの思考を狂わせる序章になったのでは?と思います。意表の手が続いていくと、次第に相手の思考の『何か』を狂わせることは、自分も今まで体験してますし、すごく強い人の将棋を観戦していても多々見かけます。それほど棋力の高くない自分には、それ以後の羽生さんの指手が見えなくなり、ギリギリのところでスッと不可思議的にかわす指手が、なんかホントに『羽生マジック』と呼ばれる手品のように見えました。まるでマジックを見てるように、棋界最強の男は、棋力の低いアマには幻想のような将棋を見せてくれました。まさか将棋観戦で『マジック』というショーを魅せられるとは思ってもいなかったです。加藤さんの解説も正確かどうかはともかく、不思議な興奮、感動をお茶の間に提供してくれたことは間違いないです。『世紀の大逆転』でいいじゃないですか。たまには。自分は羽生さんがなぜこんなに強いのか、というのは棋力の他に確かに何か持ってる、としか言いようがないように思います。勝った羽生さんのあまりに無口で淡々とした表情が、なんか底知れぬ力を秘めた悪魔のようで不気味でもありましたw



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大平プロが発行してたメルマガで2人の対戦はいつも終盤に大逆転があります。とありました。

2001年以降この対局まで1勝4敗で、視聴してて気のせいか自重気味な印象でした。

それは例えて言うのなら9回2アウトで押し出し四球を出してしまう。そんな感じがしてました。

(視聴中は中川7段の重厚な棋風故と思ってました。)

いわゆる苦手意識が根付いてしまっているのではないでしょうか?


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あの対局は私の所属するサークルでも話題となり、ご指導頂いている先生(指導棋士)に解説して頂きました。

結論から言えば、桂を取られた飛車を歩で取り返した手が敗着となりました。あの手で9八竜と角を取っていれば自陣に寄りは無く 際どいながら中川七段の勝ちだったとの結論です。

王手馬の時点では確かに中川七段の勝勢でしたが、その後の指し手(6~7筋の攻防)でもう少し早く飛車を8一に引いておけば良かったですね。本譜でも飛車を引きましたが、引いた以上は6一の金を取らなくては指し手の流れとしておかしかった、とも先生は仰っていました。



<訂正1>

「桂を飛車で取った」ではなく、「(羽生二冠が)桂を取った飛車を、歩で取り返した」が正解でした。訂正させて頂きます。



<訂正2>

1二竜ではなく9八竜でした(先後を間違えていました)ので、再度訂正させて頂きました。

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